長く傍に居すぎると、そんなものなのかもしれない。
 気づかなくていいことに気づき、知りたくなくてもわかる。

 でも、気づいて欲しかったことには。知って欲しかったことには。
 何も気づかなかった。










     02. 接し方は熟知している










 日曜の朝は、皆遅い。
 けれど今日はライルの時間に不定期な仕事の都合で、いつもより早かった。

「刹那ー?」

 年頃の少女の部屋にずかずか入るのは、さすがに出来ない。
 本人は至って気にしないだろうが、無意識の嫉妬が向けられるのは遠慮した
 いからだ。
 相変わらず、しんとした家。広い家なのに、こうも静まり返っていると、逆に
 落ち着かない。
 にぎやかな家庭で育ったライルにはなおのことそう感じる。

「刹那、起きてるか?」

 再度声をかけると、中で布擦れの音がした。
 ぺたぺた、と足音がして、閉ざされていたドアが開く。

「……ライル」
「おー。おはよう」
「―――おはよう」

 まだ眠そうな様子で顔を出した少女に苦笑した。
 ―――頭がすごいことになっている。
 柔らかい猫っ毛はすぐに癖がついてしまうのだ。
 目を擦る手をやんわりとはずさせ、軽く頭を撫でてやると、ようやく覚醒した
 のか、はっきりした赤褐色が見上げてきた。

「まだ7時…」
「今日仕事なんで。朝飯食いっぱぐれるよりマシだろ?」
「…食べなくても」
「イケマセン」

 む、としたように唇を結んだ刹那に「彼」がするように頬を撫でる。
 小麦色の肌は柔らかく、手入れもしてない癖に肌理が細かい。
 化粧のノリがいいわけだ、と職業病のようなことを思いつつ、着替えを促した。

「そのうちまた練習に付き合ってくれよ」

 ドア越しにそう話しかけると、ごそごそと着替えているであろう音の中、かす
 かに了承が聞こえた。
 ライルの仕事はカメラマンだ。まだ助手だが、もう少ししたら独り立ちできる
 だろう。
 撮るものは人物でも、風景でもよかった。ただ、今は修行と趣味をかねて雑誌
 に掲載するものを撮っている。
 練習と称して刹那を撮るのは、カメラを持ったときからだ。本人に自覚はない
 が、彼女は整った顔をしているし、伸長こそ足りないがスタイルも抜群である。
 日曜はしっかり休日のニールとは違い、ライルはロケによって仕事の時間が不
 定期だ。
 だからこそ、刹那に目がいった―――。

「…俺を撮って楽しいのか?」

 音を立てて開いたドアから、着替え終えた刹那が出てくる。今日の出で立ちは
 シンプルな白いセーターと紺のジーンズだ。いつもながら、あるものを着る、
 という少女にまた服を贈らねばと、半ば使命のように思う。
 毎回聞いてくる質問に笑いながら頷くと、不可解だ、とでもいうような視線が
 返ってきた。
 刹那を撮るときは、とにかく着飾る。仕事仲間の友人にスタイリストとメイク
 アップアーティストがいるのは僥倖だった。稀にスタジオにもつれていく。
 絶対に雑誌等に載せない、という約束を交わしたうえで、渋る刹那を了承させ
 た。

「お前は自分で思ってるより、ちゃんと可愛いよ」

 からかうようにそう告げると、刹那は一瞬頬を赤く染めて、すぐに自嘲じみた
 笑みを浮かべた。
 
「可愛い、は…妹だからだろう」
「せつ…」

 事あるごとに「可愛い」と告げてくる彼のことを思い出したのだろう。
 浮かんだ笑みが痛い。
 払拭するかのように未だはね放題の頭を乱暴に撫でると、じろりと睨まれた。
 いつもながら、猫のようだと思う。しなやかな身体も、その気質も、どこか猫
 のようだ。
 するりと離れていく様を見ながら、小さな背中が泣いているように見えた。








 誰かと約束をしていればよかった。そう後悔したところでもう遅い。
 二人きりで過ごすのは、出来れば遠慮したかった。

「ニール、出掛けないのか」
「んー。今日は掃除とかしちまおうかと思って」

 そのあとはゆっくり読書、のつもりだろう。朝食の片付けをしている彼を見な
 がらそうつなげる。
 昔から変わらないニールの休日の過ごし方。以前はデートに費やされていたの
 に、なぜ今日に限って家にいるのだろうか。

「…恋人、と。出掛けないのか?」

 自分の首を絞めるとわかっていても、沈黙も嫌で、差し障りのない話題が、こ
 れしか思いつかなかった。
 俯いた刹那は、ニールが軽く目を瞠ったことを知らない。

「今日、仕事なんだと。最近時間合わなくてな」
「そう、なのか…」

 どうりで最近は帰宅も早いわけだ。
 恋人もキャリアウーマン系を選ぶニールは、何度かそれが原因で別れたことも
 あるくせに。
 ―――でも今回は違うのかもしれない。
 どうしようもない事実に、目をそらしたまま会話を続ける。

「刹那は?学校の友達とか、彼氏とかと約束してないのか?」
「―――っ」

 至極あっさりと問われ、一瞬肩がはねる。
 そっとニールの方を窺うと、彼は皿を洗っているため、刹那の方を見ていない。
 何も気づいていない様子に安堵しながら、クッションをきつく抱いた。

「今日はしてない。彼氏はいない。…そろそろ、期末があるから」

 声が震えないように注意しながら返すと、彼が納得したかのように頷いた。

「そういやそろそろそんな時期か。…勉強、見なくて大丈夫か?」
「問題ない」
「そっか。昔から刹那は頭良かったもんな」
「…別に。普通だ」

 自分が特別頭がいいとは思えない。
 ニールに勉強を見てもらっていたあの頃は、ただ単に、褒めてほしくて頑張っ
 ていたにすぎない。
 今は―――他に邪念を追いやる術が見つからないからだ。
 彼を想う気持ちは、なくなるどころかさらに込み上げるばかりで。それを見な
 い振りするには、何かほかのことをするしかなかった。
 部活でもやればよかったのだろうが、人付き合いの苦手な刹那にとって、それ
 は逆に苦痛になる。だから勉強をすることにしたのだ。おかげで校内のテスト
 では、いつも上位にいる。

「じゃぁ今日は二人とも暇なのか」
「…俺は勉強する」
「休みの日ぐらい、しなくてもいいんじゃないか?」

 確かにすでに予習まで終わらせてしまっている。
 黙り込んだ刹那に、ニールがようやく片付け終えたのか、手を拭きながら近づ
 いてきた。

「どこか出掛けてもいいけど、家でゆっくりするのもいいよなぁ…」
「…一人でやれるだろ」
「んな冷たいこというなよせっちゃん」
「せっちゃんとか呼ぶな」
「…可愛くないな」

 可愛くなくて、いい。
 どうせ可愛くたって無駄なだけだ。
 ―――あんたに選ばれなきゃ、無駄なだけ。
 クッションを抱いたままそっぽを向くと、むっとしたような雰囲気を感じた。

「ライルとはよく出かけるのに、俺とはあんまり行かないよな」
「…ライルにつきあうときはたいてい練習だ」
「それにしたって、結構すんなり行くじゃねぇか」

 だってそれは、ライルなりの配慮だから。
 ニールの傍にいられない刹那を、逃がしてくれているのだ。
 そんなことない、と言いつつ、案外よく見ているのだと錯覚する。
 期待するだけ無駄だ。きっと単に仲間外れにされているように感じているのだ
 ろう。彼にはそういう子供っぽいところがある。

「ライルはいいのに、俺とは出掛けたくないのか?」
「…そういうわけじゃ」
「なら、今度は俺とドライブ行こう」
「…恋人がいるだろ」

 ずきり、と胸をナイフか何かで刺されたような痛みを覚えて、眉をしかめた。
 幸いにもクッションと俯いているおかげで、ニールにこちらの表情は見えない。
 痛みを自己生産する自分に呆れると同時に、それほどニールが好きなのだとま
 た自覚する。

「恋人と刹那は別だよ」

 それ以上、言わないで。続く言葉は、簡単に想像がつく。


「刹那は大事な妹みたいなものだからな」


 そんな優しい声で、きっと微笑んでいるのだろう、その顔で。
 この上なく残酷な言葉を吐かないで欲しかった。

「…そうだな」

 本当に、兄妹ならよかったのだろうか。
 声が震えないことに安堵しながら、そう返すのが精一杯だった。
 髪を撫でてくる手が、優しくて。泣きたくもないのに、涙が溢れそうになる。
「妹」なら、甘えても許される。「恋人」という特別にはなれないけど。
 今だけだと、そう心に誓いながら、ニールの手を甘受した。










 夕方に帰ってきたライルは、機嫌のいい兄とは対照的に、どこか沈んだ様子の
 刹那を見て眉をひそめた。
 好物の魚を使ったシチューに舌鼓を打つ間も、どこか晴れない顔。
 ニールが片づけをしている間に、黙りこくったままの少女を観察する。
 こういう時は自分から話しだすまで待っていたほうがいいのだ。場合によって
 は聞き出すが、それは最終手段だ。あまり構うと、逆に話さなくなる。
 ちらりと横目でニールの様子を窺うと、刹那がライルの袖を引いた。

「どうした?」

 なるべくいつもどおりに気軽に聞くと、刹那は立てた膝から顔をあげる。
 無表情の中に、感情を雄弁に語る赤褐色が、哀しみを映していた。

「…刹那」

 促すように名前を呼ぶと、袖を掴む手に力がこもる。
 服のしわを気にしている場合じゃない。

「……」
「兄さんと、何かあったのか」

 ぴくり、と反応した身体に当たりか、とため息をつく。

「本当に、妹ならよかった」
「え?」
「血が繋がってたら、こんな想い―――」

 ターコイズグリーンの目が瞠られる。
 刹那の口から、こんな風に言われたのは初めてだ。

「…後悔してるのか」

 ニールを好きになったことを―――。

「わからない」

 ゆるく首を横に振る仕草が、途方に暮れた子供のようで。
 昼の間に、何か言われたのだろう。ニールは刹那を妹扱いするから、それゆえ
 に何か失言したのだと推測する。

「…今泣けないなら、目、瞑ってろ」

 刹那は人前で決して泣かない。
 もともと感情があらわれないタイプではあるが、いつからかニールやライルの
 前でも隠すようになった。
 だからほんの些細な感情の機敏にも気づいてやらなければ、きっと無くしてし
 まう。
 そんな刹那が耐えきれなくなりそうだなんて―――重症だ。
 強引に引き寄せて、膝枕の体勢をとる。びくり、と大仰に身体を震わせるのは、
 もはや癖だ。それを無視して目を覆ってやると、すんなり力を抜いてきた。

「寝ちまえ。ヤなことあったんならなおさらだ」

 小さな頷きと共に、小さな手が何かを求めるように彷徨った。
 その手を取ってやるのは、自分の役目じゃない。
 だから手近にあったクッションを持たせてやる。
 ほどなくして完全に弛緩した身体から、小さく寝息が聞こえはじめた。



「…寝ちまったのか」
「…兄さん」

 音をたてないように気をつけて覗きこんできた兄は、ライルの膝の上にある刹
 那の頭をそっと撫でた。
 ―――ニールに触れられる時は、子供は震えない。

「デザートあんのに」
「もう少ししてからでもいいじゃん」

 ほとんど囁きのような小ささで会話をしていると、膝の上で器用に寝がえりを
 打たれる。
 すり寄ってくる仕草に小さく笑うと、ニールから羨ましそうな視線が刺さった。

「なぁライル」
「ん?」
「なんか刹那、俺に冷たくなったと思わねぇ?」

 同じ顔が、情けなさそうに眉を下げている。
 自分もこんな顔してるときがあるんだろうな、と漠然と思いながら膝の上に視
 線を戻した。
 昔はニールにしか懐かなかった子供。ちょろちょろ後をついて行ったり、触れ
 られて怯えることもなかった。その姿は今では見ることが出来ない。
 一概に成長したから、で済ませるにはどこかひっかかる。

「別に、そんなことないと思うけど」
「そうか?…お前にはこうやってひっついてるのに、俺にはさせてくれなくなっ
 た」
「俺だって滅多にないぞ?」
「でもさ、なんかもう長いことちゃんと話したりしてない気がするんだ」

 否定してやったのに、兄の表情は寂しそうに笑うばかりで。

「昼にも刹那と話したんだけど。なんかさ、刹那は俺にとって大事な妹がみたい
 なものだし―――」

 大事な妹。
 その言葉が、刹那を傷つけたのか。
 まだニールが何か続けていたが、ライルの耳には入らなかった。
 ニールを「兄」としてではなく、「一人の男」として慕っている刹那に、なん
 て残酷な。
 眠らせる前に見せた泣きそうな眸の意味がようやく知れた。

「…気づかないって、罪だよなぁ」
「え?」

 思わずこぼれた呟きが聞き取れなかったのか、ニールが首を傾げる。
 刹那の想いを何も知らない男に、兄といえど無性に苛ついた。
 無意識のところで、妹だなんて思ってない癖に、彼はいつも妹として扱う。ま
 るでそうしなければならないと、自分に言い聞かせているかのように。

「刹那にも色々あるんだろ」

 不満そうな兄に投げやりに告げ、眠る少女の長い髪をいじる。
 やはり無意識に身体を震わせるのに、苦笑した。
 ライルにとって、刹那は「妹」だ。どんなに可愛くても、そういう風には見れ
 ない。
 けれど兄の目は―――同じターコイズグリーンの目が刹那を映すとき、自分と
 は違う何かが混じっている。それは刹那が抱く感情と同じに見えるのに、本人
 は気づいていない。
 寂しそうに刹那を見ているニールにわからないよう、小さく溜息をついた。
 どちらも大事な家族だ。自分を挟んで展開されるねじれた恋情はもどかしく、
 少しだけ疲れる。

「刹那ももう16だぜ?…こいつ、それなりにモテるんだしさ」
「え?ああ…そうなのか…」
「なんかよくラブレターとかもらってきてるしな」
「…ラブレター?」
「なんか断るの苦労してるみたいだけどな。しつこい奴いるらしいし」

 部屋の机にたまに所在なさげに置いてある手紙を思い出しながら、からかうよ
 うに話すと、ニールの眉間にだんだんしわが寄っていくのが見て取れる。
 これでどうして、いつまでも自覚しないのだろうか。
 心の底では、妹だなんて思ってないくせに。

「いつか恋人とかできるだろうし。そしたらもう俺らは用済みだな」
「…用済み?」
「いつまでもただの幼馴染が傍で守ってなんかやれないだろ。俺たちは…いくら
 刹那が妹みたいでも、結局は他人だ。つながりなんて、そんなもんだろ」

 ただの幼馴染の絆が、そんなに深いとは思わない。
 いつかは離れる。これから先も一緒に居られる保証など、どこにもないのだ。

「ニール」

 刹那を見つめたまま、動かなくなった兄を呼ぶ。
 動揺しきった目が見つめ返してきた。

「当たり前みたいに…家族みたいに一緒に居られるなんて、のんきに思ってんじ
 ゃねぇぞ」
「ライ…ル」
「刹那には刹那の考えがある。…お前が先に手を離したんだ」

 盲目的に信じていた。
 何があってもずっとそばに居られる関係は「家族」しかないと。
 けれど刹那は知っている。絶対の絆など、この世にないと。
 だからすれ違う。ニールはそれに気づいていない。
 こんこんと眠る刹那の目元には、乾いた涙の跡がうっすらと残っていた。








『ニール』

 伸ばされた手を、拒絶したことはなかった。
 けれど最初から、手を伸ばす術を知らなかった子供は諦めるのも早かった。

『悪いな、刹那』
『わかった…』

 年齢の差。一緒に過ごす時間が決定的に少なくなったのはいつだっただろう。
 手が伸ばされなくなったのは。目をあわせてくれなくなったのは。
 いつの間にかニールがしていたことを、ライルがするようになった。
 ライルの撮る写真の中で、どこか遠くを見ている、知らない表情。
 ずっと傍で見ていられるのだと思っていた。

 刹那が―――顔も知らない他人の手を取る。
 笑いかけられて、優しく包むようにされて。愛情を知らなかった少女はきっと
 戸惑って、でもニールたちを受け入れたように時間が経てば、その人を受け入
 れるのだろう。
 そうして離れていくのだろう。ニールの前から、いつか。

 誰かを受け入れて、笑えるようになることは、刹那にとっていいことだ。
 けれどそれが無性に寂しいと―――何か空虚を感じると。
 そんな所を見てしまったら、きっと自分は。





「ニール、どうしたの?」
「え」

 不満そうにのぞきこまれ、ニールは思考を断ち切った。
 そうだ。久しぶりに恋人とドライブに来ていたのに。
 別のことを考えていたのだと見抜いている彼女は、拗ねたように唇を尖らせた。
 その仕草が「彼女」に似ていて、思わず笑ってしまう。

「悪い、仕事のことでな――」
「ほんと?」
「来週、厄介なのが入ってるんだよ…」

 話題を仕事にすり替えることに成功し、そのまま機嫌を取る。
 話しながら感じる違和感はどんな女性といても感じていた。
 いつもあの子が饒舌になることなど、ありえないから。

 思考の隅から、消えることのない人がいる。
 それがあまりにも違和感がなく、普通だと思っていた。








 校舎裏なんて、お約束の場所に呼び出され、小さくため息をつく。
 行かなくてすむ方法はないかと思うが、それはあまりにも相手に失礼だろう。
 靴箱に入っていた手紙の字はとても悩みぬいて書いた、とわかった。

「…あなたのことが」

 好き、という感情。
 自分が抱えているものと同じ、その熱。
 どうしたら消せるのかわからない。
 昼休みの騒がしい廊下を足早に進んでいると、背後から呼びかけられた。

「刹那・F・セイエイ」

 知った声に振り向くと、予想どおりの人物がいた。
 肩を越えるあたりで切りそろえられた真っ直ぐなアイリス色。眼鏡の向こうに
 カメリアの知的な眸が刹那を映してほんのり細められた。

「珍しいな、昼休みにこんな所を通るなんて」
「…ティエリア」

 廊下を横切って近づくと、ティエリアは手に大量の書類を持っていた。
 きっと今から仕事をするのだろう。
 学園では有名な氷の美貌を持つ生徒会長―――それがティエリア・アーデだった。
 刹那とは中学校のころからの友人だ。学年は違うし、人と付き合うのが得意では
 ない刹那と付き合いがあることを知っている人間は限られている。けれど刹那に
 とって無理に合わせる必要のないティエリアは良い友人といえた。

「外に用がある」
「外…?―――呼び出しか」

 少し困ったような顔と、手に持つ手紙に気づいたのだろう、柳眉を顰める。

「お前に限って大事はないと思うが…気をつけるんだな」
「ああ…」

 以前告白された際に激昂した男子生徒から襲われそうになったことがある。
 そのとき手を貸してくれたのがティエリアだった。そんな出逢い方をしたのだ。
 心配はもっともで。
 他の人にはわからない程度に心配の色を見せたカメリアに小さく笑いかける。

「大丈夫だ。ティエリア」

 その言葉が、ティエリアにどんな風に聞こえてるかなんて、知らなかった。






















       うちのニールは鈍いです。ライルのほうが聡い。どうせうちの攻めは
       そんなもんです。
       ティエリアはせっちゃんを大事な妹のように思っています。中学の頃
       のあれこれも書いてみたいです。
       
          08.12.30 子供から大人へと変わっていく。いつまでも、
                そのままではいられないから。